今日は、三つの柱の一つ「異文化コミュニケーション・異文化理解」について。こう言うと非常に幅広いことを指してしまいますが、この研修では主に、「日本語教育」という観点からこの柱を捉えていて、「村山日本語学校」と「ホーチミン人文社会科学大学日本学部」の二つを訪問し、ベトナムにおける日本語教育の現状を体験しました。
≪村山日本語学校≫
正式には「村山記念JVPF日本語学校」 というこの学校は、ホーチミン市の統一会堂すぐそばに位置するレクイドン高校内に、2007年より設置された日本語講座です。村山富市元首相を会長とする JVPFという団体が設立した日本語講座で、設立当初はレクイドン高校の学生のみを対象にしていましたが、その後対象をホーチミン市内の他の高校の生徒にも広げ、さらに現在までに大学生や一般の方にも開かれることになりました。現在総学生数は122名で、うち28名が高校生、42名が大学生、残りはすべて一般の方ということです。
JVPFのホームページ: http://ifcc1985.com/jvpf/act/education.html
レクイドン高校内のワンフロアを借りています |
ARBAは2007年の設立当初より、教員を対象とした研修の実施や学生たちとの交流など、いわゆるソフト面での協力という形でこの学校に関わってきました。私自身も2009年の一年間は、アルバイトの日本語教師として授業を担当させてもらった時期もありました。またエクスポージャーツアーでは毎回学校を訪問して、ツアー参加者と日本語を学ぶベトナム人学生たちとで、日本語を使った交流授業を行ってきました。
「私の一日」を紹介しました |
今回の法大キャリアデザイン学部の研修では、各クラスの授業を見学させてもらった後で30分ほど時間をもらい、キャリアデザイン学部生たちによる日本紹介を行いました。桜や富士山といったステレオタイプの日本ではなく、自分自身の日常生活を通して知ってもらう日本を、ということで、「私の一日」をテーマに写真を使ったプレゼンテーションを行いました。通学途中の電車や駅の様子、大学での授業の様子、サークル活動の様子、アルバイトの様子、家での暮らしの様子・・・など、皆さんそれぞれに工夫し説明していました。
プレゼンをする前に唯一約束していたことは、「日本語だけを使って説明し、英語やベトナム語に逃げない」こと。皆さんそれをよく意識してくれ、例えばキャリアデザイン学部生のSさんは、前半の授業見学でクラスのレベルを察知し、村山日本語学校の学生たちがすでに学んでいるであろう語彙だけを上手に使って説明していました。別のクラスではIさんが急きょベトナム人の先生に「色を教えてほしい」と振られたとき、Pinkを「ピンク」ではなく「桃色」と伝え、桃についての説明を加えていました。
慎重に言葉を選んで話します |
村山日本語学校のポリシーは「日本語を日本語で教える」という直接教授法。とはいえ現在日本人の教員がいないため、ベトナム人の先生方はベトナム語に頼らざるを得ない部分もあります。そんななかキャリアデザイン学部の皆さんが発した日本語は貴重な生の日本語であり、ひょっとしたら村山日本語学校の学生にとって初めて聞くネイティブ日本語だったかもしれません。もちろんすべてを聞き取ることはできなかったかもしれませんが、生の日本語を聞き、理解できてうれしかったり、聞き取れなくて悔しかったり…。そういった気持ちを、今回村山日本語学校の学生たちが感じてくれ、今後の日本語学習への意欲へとつながったらとても嬉しいなと私自身思いました。
日本語のプレゼン、どれくらい聞き取れたでしょうか |
(きむら)
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